え、鈍感……?それって良い意味なの……?悪口じゃない……?
なぜか急に真剣な顔をして向き合ったチカ先輩の次の言葉を待つ。


「俺─────」


そう、チカ先輩が言いかけたその時だった。



「────知佳」


前から、ソプラノの高い声が聞こえてきたのは。

その声に、分かりやすく身体が強ばる私とチカ先輩。
チカ先輩から視線を外して、前を見るとそこには。


「……有紗」


有紗さんが、私たちの所まで歩いてきていた。

……これ、結構まずい状況かも。
まさか今、このタイミングで来るなんて思っていなくて。


「……なんでまたその女といるわけ?」

「……っ」


チカ先輩を見てすぐに、私に視線を移した有紗さん。
目が合った瞬間、睨まれてゾクッする。


「……なんでお前がここにいんの?」

「そんなの別に良くない?」


有紗さんも学校帰りだったのだろうか、制服で来ていて。