「あ、雪桜ちゃん」


玄関の方に歩いていると、たまたまタイミングがあったのかチカ先輩がいて。


「帰りますか?」

「うん、帰ろ」


チカ先輩のところに駆け寄ってそのまま歩き出す。
周りの目線が気にならなくなってきている私が怖い。


「雪桜ちゃん、傘持ってる?」

「え?持ってないです」

「これから雨降るらしいよ。俺も持ってないから早めに帰ろう」

「え…っ!?駅から家まで結構歩くのに……」


知らなかった……。
窓の外を見ると、奥の方が暗くなっていて。
……確かに降りそうだな。

玄関で靴を履いて外に出ると、何人かの人はちゃんと傘を持ってきていて。
なんだ、私が天気予報見てなかっただけか……。
と朝の自分を少し恨む。


そのまま歩きながら学校の門を出て駅に向かう。


「……で」

「……?」

「お昼の、あれなに?」

「……あ」