チカ先輩のお気に入り。





夏目先輩には、いろいろお世話になったから。
次会ったらお礼言おうって決めてたんだった。

すると、その隣にいたチカ先輩が私の手首を掴んできて。


「雪桜ちゃん、夏目のことそんなに見ないで」

「はい……?」

「笑っちゃだめだよ」

「真顔でいろってことですか」

「そういうこと」


急に距離が近くなってドキッとしたかと思ったら、なんかよくわからないことを言っている。

……笑っちゃだめは難しいでしょ。
なのに真剣な顔で口を尖らせているチカ先輩。

なんだかそれが面白くて、ふふっと笑ってしまう。


「ふふっ、なんでそんな真面目なんですか」

「……可愛いから」

「…っ、はい?」


急なチカ先輩の言葉にピタッと固まる。
か、か、可愛い……っ?

かああっと顔が熱くなるのを感じて胸が高鳴る。

ちょ、今ここにはまやちゃんと花菜ちゃんもいるのに……っ!!