チカ先輩のお気に入り。




いつもは私一人で自販機に来るけど、珍しく二人も着いてきたのだ。


「私りんごジュース飲む〜」

「いちごオレ」


飲み物を選びながら買っていると、


「雪桜ちゃーん」


と聞きなれた声が後ろからして。
振り向くと、その声の主である夏目先輩とその隣にいるチカ先輩が手を振りながら歩いてきていた。


「やっぱり絶対会うと思ってた……」

「来てよかった……」


私の隣で二人が小声で話しているのが聞こえて。
……だから着いてきたのか。


「こんにちは」

「ここで会うの恒例になってきたね」

「ふふっ、そうですね」


夏目先輩の言葉に笑いながら納得する。
あ、そうだ言わなきゃいけないことがあったんだ。


「あの夏目先輩、いろいろありがとうございました」

「えー?いやいや、俺別になにもしてないよ」

「いえ、本当に感謝してるので」

「…そっかそっか。よかったよ」