チカ先輩のお気に入り。




こんなにもムカつく人に、ドキドキしてしまう私にムカつく。

なんで、今私チカ先輩の方に歩き始めてるの。
あの目に見つめられて、これ以上近づくとアブナイってことは分かってるのに。
なのに、なんでチカ先輩の目の前まで歩いちゃうの。

……逆らえない。そう、思った。
なんだかそれが屈辱で悔しくなる。

すると、チカ先輩の手が伸びてきて、私の腕を引っ張った。


「わ……っ」

「いい子だね、雪桜ちゃん」

「……っ」

「なんで黙っちゃうの?いつもはあれだけ反抗してくるのに」


私はチカ先輩の膝の上に座らせられて、今はチカ先輩と向かい合っている状態。
なんで黙っちゃうの?ですって?そんなの、この格好が恥ずかしいからに決まってるでしょ……っ!!


「なに?言いたいことがあるなら、言ってごらん」

「は、離して……っ」

「自分から来たんでしょ?」

「ち、違う……っ!」


なんで、こんな意地悪するんだ。
こんなにも恥ずかしくてたまらないというのに。