一応病み上がりなわけで。余計心がぐちゃぐちゃだ。


顔を上げて、近くにある鏡で自分の顔を見る。


「…はは……っ、涙でぐちゃぐちゃじゃん……っ」


乾いたように笑いながら鏡から目を逸らす。
止めたいのに止まらなくて、諦めて立ち上がる。

服を脱いで部屋着に着替えてベッドにダイブした。


……こんな状態で、チカ先輩に会いたくない。
それに……チカ先輩の好きな人が本当にあの人なら、私は……。
きっと私は、チカ先輩に会ったら辛くて泣いてしまう。

はぁ、と枕に顔を埋めながらため息をつく。

あの人が噂の好きな人だということを確信したわけではない。
…でも、あの人が誰なのか分からないから。


……あ〜あ。今考えると、名前すら知らないや。
名前も知らない人に傷つけられて、泣いて。
……馬鹿みたい。


もう一度大きいため息をつく。