やだなあ、他の人に腕触られたなんて。
思わず下を向いてしまう。
……だめだよ、ちゃんと笑わなきゃ。
心配かけないようにしなきゃ。
そう思ってまた顔を上げると、電車が激しく揺れて、身体が傾く。
バランスを崩したと同時にチカ先輩に腕をグイッと引っ張られて身体が引き寄せられた。
「……っ、わ」
「…危な」
ふわっと香ったチカ先輩の匂いにドクンと心臓が激しく動く。
チカ先輩は私の顔をのぞき込むと、
「大丈夫?ボーっとしてるね」
そう上目遣いを使って心配してくれて。
あまりの破壊力にかぁぁっと身体の体温が上昇する。
か、身体が熱すぎる……っ、好きって自覚したらこんなんになっちゃうの……っ!?
そう照れる私に満足そうにニッコリ笑ったチカ先輩は私の頭を撫でた。
「……あれ?」
「え……?」
すると、すぐに頭に置いた手を止めて。
どうしたんだろう……。

