チカ先輩のお気に入り。





どういう、状況なんだろう……。
遠くからじゃわからない。わからないけど……。

女の人は負けじとチカ先輩の腕にしがみついていて。
……っ、触んないで……。
そんな真っ黒な感情が私を支配する。


どういう関係なの……?
でも、いつものチカ先輩とはどこか違う。
普通ならチカ先輩は嫌なら嫌とはっきり言って突き放すくせに。
今は……どこか躊躇しているように見える。

ちらりと見えたチカ先輩の顔は苦しそうにためらっていて。
先程のようにその手を払いのけてはいなかった。


「……雪桜?」

「……すごく、心臓がズキズキしてて痛い」

「……」

「なんでだろ……」


はは…っ、と乾いた笑みを浮かべる。
その光景を見たくなくて顔を逸らす。


「…行こう、雪桜」

「……」

「こういう時はめっちゃ食べよ!相談ならうちらいつでも乗るからさ!」

「…うん、そうだね」