「え、あれって……」
二人もチカ先輩に気づいたらしく、驚いたような声を出していた。
……遠くから見てもわかる。
くるくると巻かれた綺麗なロングの髪。
スラッとしたスタイルの良さ。
服は女の子の模範みたいに可愛らしい。
遠くからうっすら見える顔は、小さくて真っ白で目が大きい。
……きっとすごく可愛い人だ。
私なんかよりも全然。チカ先輩の隣に立ってもおかしくない人。
ズキリと胸が傷んで苦しくなる。
初めての感覚に、困惑するしかない。
「……誰あれ」
「わかんないけど……めっちゃ美人」
横で話している二人の会話など耳にも入らずにチカ先輩と女の人を見つめる。
でも……なんか揉めてる?
女の人がチカ先輩の服を掴むと、チカ先輩はその手を払いのけた。
遠くから見てもわかる、あのオーラ。
あれは、私が前にチカ先輩を怒らせた時と同じ冷たい雰囲気だ。

