チカ先輩のお気に入り。





私はチカ先輩のネクタイをグイッと引っ張って顔を寄せた。
チカ先輩に隙が出来たのをいいことに私は口を開く。


「違うよ、続きがあるの……!」

「…は?」


このままの勢いに乗せて、私が本当に言いたかったことをチカ先輩の目を見てしっかり伝えようとする。

チカ先輩のネクタイを掴む私の手は少し震えていた。


「あのね!チカ先輩は確かに何考えてるかわかんないけど!!私はチカ先輩のそういう所がいいと思うよって!今のままの方が居心地いいよって伝えたかっただけなの……っ!!」

「……っ」

「確かにチカ先輩ムカつくことあるけど、私はこれでもチカ先輩に感謝してるから……!」


私が危険な時に守ってくれたり、勉強教えてくれたり。優しいチカ先輩も知っているから。

だから、ありがとうって。
何考えてるか分からないけど、それがチカ先輩だからそのままがいいよって。
そう、言いたかった。

まさかそれが、逆に傷つけてしまうなんて思わなくて。