チカ先輩のお気に入り。





冷たい目、低い声、光を失ったような無表情。でも、どこか苦しんでいそうに瞳の奥が揺れている。

もしかして私……地雷踏んだ……っ?


「……雪桜ちゃんも、あいつと同じなんだね」

「ち、チカ先輩……っ?」


嘘、本当に怒らせちゃったかもしれない。
その冷たい瞳を向けられている事実にズキリと心臓が痛む。


「ははっ、バカみたいだね俺」

「違……っ!」


乾いた笑みと傷ついた表情に、私も苦しくなって。
ま、まって……っ!!違うの……っ!!
私が言いたかったのはそういうことじゃない……っ!!

チカ先輩が言った"あいつ"なんて今はもうどうでも良くて。
……ただ、嫌われたくないと思ってしまった。


「いいよ別に。勝手に期待したのは俺だし」


軽蔑するような眼差しを向けられて、ズキリと少し心臓が傷んだ。

でも、そんなことは気にせずにチカ先輩の元へ身体が勝手に歩き出して。


「まって…っ!私の話聞いて……っ!」

「…っ!?」