チカ先輩のお気に入り。





「チカ先輩は犬派ですか?猫派ですか?」

「うーん…どっちかっていうと犬かな」

「そうなんですね……!」

「だって、雪桜ちゃんが犬だし」

「はい……っ!?」


私も質問を返すと。
とんでもない返事が返ってきて声が裏返ってしまう。
私が犬だからってなに……っ!
またからかわれた……、と悔しくなる。

そう思って、ポロッと口から次の言葉が出た。


「チカ先輩って…何考えてるかわかんないですよね……。まあ、でも……」


そう言った瞬間。
隣で歩いていたチカ先輩の足がピタッと止まり足音が消える。
どこか空気がサァァっと冷たくなったような気がして、パッと後ろを振り返ると。


「……チカ先輩?」


……先程までとは違う、冷たく鋭い瞳が私を見つめていた。

な、なに……どうしたの?

なぜかやばい気がして。ゾワゾワと鳥肌が立つ。


「で?」

「え……?」

「で、なに?」

「あ、あの……っ?」