チカ先輩のお気に入り。





な……っ、近すぎる……っ!
チカ先輩はこの距離でも動揺なんてしてなくて。
慣れてるな……っ、と心の中で思う。

チカ先輩の言葉を待っていると、先程までとは違う色気と雰囲気を出して口を開いた。


「生意気だね。その口、塞いであげよっか」

「……っへ?」

「ほら、どうする?」

「あの……っ?」


チカ先輩は私に手を伸ばすと、顎を持ち上げてきて。
かああっと顔に熱が溜まり、心臓の音がうるさくて速くなる。

な、なに……っ。
なんて冗談を言うんだ……って言ってやりたいのに。
真剣な本気な顔をするチカ先輩にそんな言葉も出なくなる。


「答えないの?」

「え…っ!?」

「そっか、塞いでほしいんだ」

「ち、違……っ!だめ、です……っ!」


私が言葉に詰まったことをいい事に、変な方向に話を持っていかれて。
急いで止めると、ニコッと笑って私から手を離した。