卵のサンドイッチとラザニアは、わたしの一番目と二番目に好きな食べ物。

 彼は、そんなことも知っているのね。

「『眠り姫』? 『そっぽ姫』よりずっとずっとロマンチックですね」
「すまなかった。せめて、詫びはさせて欲しい」

 侯爵は起き上がるのを手伝ってくれてから、寝台の端に腰をおろした。

 まるで壊れ物を扱うかのようにそっとわたしの肩に腕をまわす。

「ノーマンは、彼らはどうなったのですか? まさか殺した、とか?」

 尋ねると、彼は苦笑した。

「そうしてもよかったがな。おれが調べたかぎりでは、彼らは貴族平民を問わず、大勢の人々を食い物にしていた。金を巻き上げるだけではない。人の心を弄んでいた。それなりに罪は償うべきだ。もっとも、被害者たち、とくに貴族たちは体裁がある。被害を届けるようなことはしないだろう。だから、手をまわすつもりだ」

 簡単にひっかっかってしまったわたしにも非はある。