なにがどうなっているのかはわからない。でも、わたしの身に奇蹟が起こったのだとすれば、せめて体の痛みはなくして欲しかった。

 というような贅沢は言わないでおくし、考えないでおきましょう。

 ほんとうの侯爵を知れただけで充分。

「それよりも、わたしのことをきいていただけますか? わたしのことを知っていただけますか?」
「あ、ああ、もちろん」
「それでしたら、話が長くなります。その前に、なにか食べさせていただけますか? お腹が減ってまた眠りにつきそうです」
「そうだな。眠り姫を起こすには、つぎは卵のサンドイッチかラザニアを準備しておくとしよう。そうか。今回もそうしておけばよかったかな?」