猫かぶり男子と同居!!何度忘れたとしても君を思い出す

 いつも曖昧な夢の中のぼんやりとした記憶――。
 たしかに彼の声は鮮明に刻まれている。
 でも、何という会話をしたのか、朧気で、不確かでほとんど覚えていない。

「合言葉は○○○○だよ。これは魔法の言葉だよ」

 幼いときに仲が良かった蒼《あお》君。
 だから、彼が同じ高校に入るということを知った時には、胸が高鳴った。
 親同士が仲が良かったので、引っ越して時は経ったものの同じ高校に受かったことを知った。蒼くんはこの町に戻って来たのだ。
 だからこそ、再会のその瞬間を心待ちにしていたのはいうまでもない。
 彼のことは大好きだと胸を張って言えた。
 連絡をすることもなかったけれど、きっと再会したら、彼は優しい笑顔を私に向けてくれるだろうと私、羽留《はる》は心から、再会の瞬間を待ち望んでいた。
 お別れしたのは小学一年生の頃。十年後にまた会えたらいいねと言っていたことが実現した。

 また、出会えたら合言葉は「○○○○だよ」。
 声変わりする前のかわいらしい声。優しく包み込まれる感じがする。
 思い出せない合言葉にモヤモヤは止まらない。心臓がむずがゆい。かゆいところに手が届かないとはこのことだろうか。

 そんなことを思いながら、高校の予備登校へ向かう。
 蒼くんが同じ高校に入学したと母親に聞いていた。
 きっと運命の再会だ。
 ドキドキしながらクラス発表の掲示を見る。
 たくさんの名前が紙の上に溢れていたが、探していたのは清野蒼《きよのあお》という名前のみ。

 クラス発表を見ると、同じクラスに、なんと、蒼くんの名前がある。
 神様、ありがとう!! 普段は神様なんて拝みもしないくせにこんな時だけ感謝してしまう。
 胸が高鳴るのを抑えられない。頬が自然と熱くなる。
 きっと向こうも私との再会のことを心待ちにしているだろう。
 小さなとき、蒼くんは私に対して好きだと言っていた。
 転校する直前にも、恥ずかしいとか照れなんて全然彼には存在しない様子で、好きだと言われた。
 
 慣れない教室に入ると知らない人ばかり。教室には独特の緊張感が流れていた。
 すぐに見てわかった。背も伸びて、大人びているけど、絶対にこの人が蒼くんだと確信した。笑顔の蒼くんがいる。それだけで嬉しい。声を掛けようかと思ったけれど、何やら少し派手な感じの女子と談笑していて、とても入れそうにもない。同じ中学の友達だろうか。幼稚園の頃から男女分け隔てなく接する子どもだった。誰にでも優しいのは健在だと思った。声はイケボ声優のような感じになっており、教室に響き渡る心地よい声を堪能する。声変わりしたのだと実感した。

 結局、声をかけることもできず、ホームルームが始まった。名前を呼ばれるので、きっと私の存在に気づくだろうと思う。でも、終始彼と目が合わない。きっと思春期で恥ずかしいと思って目を逸らしているだけだよね。もしかして、気づいていないのだろうか?

 帰り際、蒼くんが一人になるのを見計らって声をかけてみる。

「蒼くん、久しぶり」
 一瞬の沈黙が走るが、蒼くんのまなざしは冷たく鋭い。まるで、知らない人に対する警戒心をあらわにする。

「誰だよ、おまえ」

 10年間待ちわびた言葉がこれとは、神様は残酷なことをする。
 冗談ではなく、真顔だった。
 完全に忘れ去られていた。現実を受け入れられない。
 あぁ、恋心は私の一方通行だったんだ。
 思い続けていたのは私だけだったんだ。

「私、同じ幼稚園と小学校に通っていたんだけど、蒼くんは小学校1年の時に転校したよね?」
「もしかして、夢町幼稚園? 夢町小学校の人?」
 驚いた顔で聞いてくる。本気で覚えていないらしい。

「そうだよ。そして、近所に住んでいてよく一緒に遊んだよね。お母さん同士が仲良しだから、同じ高校に合格したって聞いてたから」
「たしかに、幼稚園も小学校も通っていたけど、おまえの名前って何だっけ?」
「私の名前は舞空羽留《まいそらはる》」
「わりいけど、おまえのことは全然記憶にないんだよな。母さんにも、知り合いの子が同じ高校に入ると聞いていたけど、本当に思い出せなくてさ。記憶力には自信がある方なんだけどな」

 派手な女子はメイクをばっちりしていて、同じ歳なのに全然別世界の人みたいだった。聞き耳をたてていたらしく、かなり仲がいい様子だ。

「一方的なストーカー的な恋心って怖いよね。一方的に思い続けていたとかそういう話でしょ」
 いつのまにかやって来た別世界のクラスメイトは憐みの顔で蔑む。

「違うよ」
 即否定する。しかし、そこにいたグループの男女はみんな垢抜けていて、私のことなんて別世界の住人のように扱う。きっとこの先もこの人たちと同じグループに入ることはできないだろう。別世界に行ってしまった蒼くんへの未練を断ち切らなければいけないと思った。

「俺、この町で過ごしたことは覚えているんだ。でも、本当におまえのことだけ思い出せないんだよ」
 申し訳無さそうに言われる。
 私のことだけ思い出せない?
 やっぱり嘘だと信じたい。

「そんな馬鹿なことってある? 小さい時に一緒に撮った写真持って来るよ。いつも大好きって言ってくれたよね。また十年後に会おうって」
 必死な素振りを見透かしたような蒼くんはめんどくさそうに装う。
 顔に出やすいのは昔からだ。良く言えば正直者ということだろう。

「別にどっちでもいいけどな。なぜだかはわからないけれど、おまえの記憶だけ抜け落ちてるんだよ。知らない記憶があるなんて、気持ち悪いだけだ」
 蒼くんは変わってしまった。
 心底嫌な顔をされるなんて。これ以上嫌な顔をされたら私の心臓は壊れてしまう。
 蒼くんの顔立ちは、両方を兼ね備えている。かわいいしかっこいい。一言で言えば、見た目がいい顔立ちは変わらない。少しばかり大人びただけ。少しばかり派手でおしゃれな雰囲気になっただけ。
 今後、蒼くんのことは忘れよう。

 そう決めていたのに――自宅に帰ると、見慣れない車が停まっていた。
 見慣れない靴が玄関にある。女性の靴と男物のスニーカー。

「お久しぶり。羽留ちゃん」
「蒼くんのお母さん!!」

「こんにちは」
 仏頂面の蒼くんが目の前にいる。
 それでも嬉しいと感じているなんて、笑っちゃうくらい蒼くんを好きだと思ってしまうのだろうか。
「しばらくの間、蒼を羽留ちゃんのうちに居候させてもらいたいと以前からお願いしていたのよ。実は、夫が海外転勤になったの。でも、蒼は日本の高校に通いたいと言っているのよ。転勤が決まったのが急だったの。いい物件が見つかるまでお願いするわ」

 お母さんはにこにこして引き受けてしまっていた。勝手に相談なく引き受けるなんてひどいよ。
「お父さんにも相談したら、二つ返事でOKだって。羽留は蒼くんラブだから、反対しないだろうし。一時的だから、仲良くしてね」

「早速今日から、こちらのお宅でお世話になります。よろしくおねがいします」
 礼儀正しい挨拶。大人の前だと別人のように優等生。
 猫を被るとはこのことかもしれない。

「あの時は、大変だったわよね。私たちが引っ越す少し前に羽留ちゃんが事故に遭ったことがことがあったわよね」

 そういえば、小学一年生のころ交通事故に遭って、入院したことがある。死んでもおかしくなかったけれど、奇跡的にけがを負うことなく回避したらしい。気を失った私を見て、蒼くんは救急車を呼んでくれたと聞いた。大泣きして大変だったとも聞いた。入院中だったから、急に引っ越すことになった蒼くんは、挨拶することもなく行ってしまった。退院するといつのまにか、蒼くんは引っ越ししてしまった。子どもは大人の事情に逆らえない。どんなに仲良しでも、引越ししたくなくても、親の都合に合わせなければ生きてはいけない。だから、同じ幼稚園だったり同じ小学校だった同級生ということは奇跡なのかもしれない。

「あの後、うちの蒼の様子が少しおかしかったのよね」
「どういうことですか?」
「しばらく、事故の記憶やこの町であったことの記憶がなくなったみたいなの」
「一時的な記憶喪失じゃないかしら。幼い子どもにはショックだったと思うし」
 羽留の母親が心配そうな顔をする。

「今でも覚えていないんですよ。羽留さんのことは記憶からなぜか抜けてしまっているんです」
 蒼くんは姿勢もよく礼儀正しい言葉遣いをする。
 学校ではもっとあからさまに邪険な顔をするくせに、親の前だと丁寧に名前に「さん」づけだ。
 変わったんだなぁと改めて蒼くんの顔をじっと見つめる。
 蒼くんの顔はアイドルみたいに整っていて、かわいらしいというか綺麗というか――女子の私よりもずっと美しい。
 羨ましくなってしまう。さらさらした髪の毛も長いまつげも大きな瞳も全部がかっこいい。
 でも、性格は悪いと思う。私は性格重視だから、彼のことは絶対に好みではない、と言い聞かせる。

 母親同士が学生時代からの親友だ。今でも仲良しということで、同居の話はスムーズに進んでいった。

 母親同士が話が盛り上がる。
 私は部屋の案内を押し付けられた。
 あの頃の蒼くんと一緒なら、どんなにか嬉しかったんだろうか。

「この部屋、お客様宿泊用だから、使って。たまに親戚が来た時くらいにしか使わないんだけどね」
「わぁ、結構広いんだなぁ。さっき言ってた幼少期のアルバム見せてくれ」
「どうせキモイとか思ってるんでしょ。覚えてないみたいだし」
「俺、記憶には自信あるんだけどな。どうにもおまえのことだけ思い出せないのはむずがゆくてさ」
 頭をぽりぽりかきながら、気難しい顔をする。
 旅行鞄にとりあえず使う洋服などを詰めて持って来たらしく、重そうな鞄を置く。
 畳の部屋にお客様用の布団があり、これを使うように指示を出す。
 無意識に距離を取ってしまう。
 嫌われているのに、近づくのも悪いような気がする。
 あんなに会いたかった人が今隣にいるのに、すごく遠い。

「おまえさぁ、俺のこと好きだったりする?」
 予想もしないストレートな質問に驚き怒る。
 顔はきっと真っ赤になり、驚きと怒りの混じったどうにもならない表情になっていたかもしれない。
 自分の顔が想像もつかなかった。十年間ずっと会いたかった人。
 その人は私のことを忘れていた。夢と現実は違う。
 恋愛物語というものはお互いがずっと大切に想いあっているものが王道だ。
 しかし、私は恋愛物語の主人公ではない。
 忘れられているのが現実で、相手にもされていない。

「たしかに、昔のあなたのことは好きだったけど、今のあなたのことは好きじゃない」
 思った以上に大きな声が出る。

「そんなこと言っていいのかな? 後悔するかもよ?」
 にやりと笑う蒼くん。ムカつきながらアルバムを持ってくる。

「解説してよ。俺、この頃の記憶がないんだよね」

 距離が近い。こっちが勝手に緊張してしまう。
 改めてアルバムを見ると、なんて自分は普通の女の子なのだろう。
 それに比べて、蒼くんは凛々しくて、幼少期から華のある顔立ちだ。
 この時は気づいていなかったけれど、そもそも私と彼では顔のレベルが違う。

「まじで、仲が良かったんだな。いつも俺の隣にはおまえがいたんだな」
 幼稚園に入る前から、物心がつく前から私たちは一緒に遊んでいたらしい。

 ピコンとスマホの音が鳴る。
「あ、美優かよ」
「美優ってさっき教室にいた女子?」
「そうそう」
「もしかして、彼女だったりするの?」
「いや、友達以上恋人未満の関係。おしかけ彼女みたいな感じだけど、好きになるまで恋人未満でいいって言ってくれていてさ」

 一瞬で衝撃波をくらう。私の心は撃沈する。まるで隕石が落ちて来たかのようだ。今日は衝撃が多すぎる。
「って言っても、まぁ形だけかな。何度も告白されても、好きにはなれてないんだ。美優のことは嫌いじゃないけどさ。美人だし、勉強もできるけどさ。とりあえず中学の時からその関係は続いていて、恋人未満」
 この男、非常に冷酷だ。女子の恋心をわかってない。

「おまえこそ、彼氏とかいねーのかよ。まぁ、いなそうだよな。男子と話すのに慣れてなさそうだし、顔立ちもぱっとしないしな」
 苦笑いされる。絶対に馬鹿にしてる。

「馬鹿にしないでよ。私だって、告白されたことはあるんだからね」
「でも、付き合ってないんだ?」
「好きな人じゃなかったから断ったの。でも、その人は同じ高校で同じクラスになったよ。今でも好きだって言ってくれてる」

 この話は本当だ。中学が一緒だった大滝零次。彼は私のことが好きだといつも言ってくれる。
 だから、異性としての意識はしているけれど、蒼くんのことが好きだから、ずっと断っていた。
 でも、今日、断る理由がないことに気づく。
 蒼くんは私のことを何とも思ってない。

「おまえはこの写真と全然変わんねーな。地味だし、鈍臭そうだし」
「蒼くんって昔はもっと優しかったんだよ。また会えたら一緒に遊ぼうねって言ってくれた。私のことを大好きだって言ってくれたんだよ。私は、ずっと会えるのを楽しみにしていたのに。好きだったのに……」
「俺、おまえのことはタイプじゃないし、好きじゃない」

 好きじゃないしという言葉が何回も耳の奥で響く。
 五回から十回はリフレインしているような気がする。

「あれ? こんなところに本棚があるんだ?」
 驚いたように蒼くんは指を差す。
 自分の部屋に置ききれなくなった書籍を客間に置いていた。そこには、漫画から小説から写真集までもが並んでいる。
「おまえ、この小説家が好きなのか?」

 蒼くんが指を差したのは、空野奏多という小説家の小説だった。ウェブ小説出身で既に5冊ほど出版しているプロの小説家だ。素性は明かしておらず、
男性か女性かもわからない。年齢も不詳だ。大人気の作家で、超売れっ子だ。この部屋に空野奏多の小説が5冊並んでいる。実は、これは保存用で、部屋には何度も読んだ読書用のものも5冊ある。私はというと、新刊が楽しみな大ファンの一人だ。

「私、小説よりは漫画のほうが読む比率は高いけれど、空野奏多の作品はなぜかドストライクなんだよね。読みやすいし、きれいできゅんとする描写が多いでしょ。実は、ファンレターも書いたことあるんだけどね。返事はもちろんもらえないけど、読んでもらえたかもしれないと思うと嬉しいよね」

 そう言うと、蒼くんは、おでこを近づけ目をぐっと近づける。
 何? どうしてこんなにも至近距離?
「俺、本当におまえのこと好きだなんて言ったかなと思って、まじまじと確認してみたけど、やっぱり、ないな」

 なにそれ? こっちは心臓バクバクなのに。どうしてそんなに、普通に冷たい発言できるんだろう。
 好きという気持ちは封印だ。蒼くんは変わってしまったんだ。自分に言い聞かせる。

「俺、人を好きになれないのかもしれない。そういう感情になれなくってさ」
「嘘? 小さなときは何回も好き好き言ってきたじゃん」
「信じられないな。俺はおまえみたいな地味で頭の悪い女はタイプじゃないし。ちなみに、うちの高校もギリギリ合格って聞いてるけど」
「そーいう蒼くんはどうなのよ?」
「明日の入学式で新入生代表の言葉を頼まれてるんだけどね」
「ということは、一位で入学ってこと? こんなにちゃらちゃらした雰囲気を醸し出してるのに?」
「一位入学は、いかにも勉強してますっていう雰囲気じゃないとダメっていう決まりはないだろ?」
「そのとおりだけど……」

「羽留。蒼くんのお母さんが帰るから、挨拶して」
 お母さんの声がする。

「はーい」 

 リビングへ行くと、蒼くんのお母さんは不動屋に寄って、すぐに空港へ向かうらしい。
 イケメン秀才、まるで王子様だ。でも、私はお姫様なんかじゃない。
 つまり、運命の相手ではないということだ。

「うちの蒼、生意気だけど、よろしくね。本当に羽留ちゃんのことは覚えていないみたいで、ごめんね。あの頃、羽留ちゃんのことを大好きだったのよ。だから、事故に遭って入院したときに、神社に行ってお参りするって走っていったことがあったわ。まだ幼かったから、私が付き添ったんだけど。この町にある記憶を司るって言われている記憶の神様がいると言われていた神社だったと思うわ。まさか、ただのいいつたえだと思うけど、あれから、蒼の記憶は抜け落ちた部分が一部あるような気がするの。悪気はないから、ごめんなさいね」

 蒼くんのお母さんはいつも優しい。

「ありがとうございます。私はいまでも蒼くんのことは大切なお友達です。だから、安心して海外へ行ってください」

「物件の方は私が今日、不動産に寄っていくけど、あとは親戚に委託して契約できるようにするから。居候なんてごめんなさいね」

「少しの期間ですし、今まで会えなかった分、蒼くんと過ごせるのも悪くはないですよ」
 これは本心だった。半分だけだけれど。正直今の蒼くんと過ごせることが楽しいのかはわからない。
 でも、今までの空白を埋められそうな気がする。

 お母さんが帰宅すると、蒼くんは自室で荷物の片づけを始めた。
 自分の部屋に戻る。なんとなくの違和感が走る。
 今まで家着でだらだら過ごしていた自宅。髪の毛もぼさぼさでおでこ全開にしていたけど、これからは蒼くんがいる。
 つまり、食事の時も、お風呂の時も、寝るときも同じ屋根の下にいる。部屋は皮肉にも隣同士。
 気を抜けない。恥ずかしい姿は見せられない。元々、好みじゃないって言われているけれど、もっと幻滅されないように、自宅でもかわいい服を着て、髪型にも気を遣って、少しでもかわいいかもって思われたい。これは、勝手な独りよがりな願望だけれど、印象をいい方にしたいと思っている。

 お母さんが腕をふるってくれた夕食の香りがする。

「お母さんの唐揚げってすごくおいしいですよね。昔も食べたような気がします」
「そうよ、蒼くん、うちに来るとからあげないのってよく催促されたものよ」
 お母さんを持ち上げるのが上手い。笑顔がほころぶ。
 お父さんも、途中で会社から帰宅して夕食会に参加する。
 蒼くんは大人と話すのが上手い。多分、頭の回転が速く、相手のことを敬った言葉を放つのが上手いのだろう。

 私にはいつも意地悪なことしか言わないのに、調子がいい奴だ。
 でも、心の中で、蒼くんが隣で食事をしている事実がうれしくて仕方がない自分がいることに気づく。
 隣で笑っている蒼くんを見ているだけで心が和らぐ。
 幸せってこのことを言うのかもしれないく。

 ずっと会いたかった蒼くんがすぐ手の届くところにいる。
 夢の中でしか会えなかった蒼くん。
 でも、これからは嫌でも毎日会えるんだよね。