那覇から羽田への復路も順調だった。

夜のフライトはコックピットの中も落ち着いた雰囲気で、恵真は夜空を見ながら心が癒やされるのを感じた。

やがて羽田が近づき、高度を落とすと東京のきれいな夜景が眼下に広がった。

(まるで宝石箱みたい)

恵真はふっと頬を緩めて微笑んでから、気を引き締め着陸に向けて準備を始めた。

東京のタワー管制官と交信をする。

「Tokyo Tower, JW 1098. Good evening. Approaching NEXUS. Spot 62」

「Good evening, JW 1098. Tokyo Tower. Runway 22. Continue approach. Wind 180 at 12」

「JW 1098. Runway 22. Continue approach」

指示通りアプローチを続けていると、先行機の着陸と、この機への着陸許可が告げられる。

「JW 1098. Preceeding traffic touch down. Runway 22. Cleared to land. Wind 190 at 11」

「Runway 22. Cleared to land. JW 1098」

大和と恵真は、姿勢を正す。

「Cleared to land. 行くぞ」
「はい。お願いします」

前方にくっきりと浮かび上がる滑走路のライトは、夜にはさらに美しく映える。

これから着陸するというのに、まるで空へと飛び立たせるようだ。

「Approaching minimum」
「Checked」
「Minimum」
「Landing」

コックピットに落ち着いた二人の声が響く。