「それで?その合コンで何かあったの?」
「うん、実はさ。私、恵真のとこの整備士とつき合い始めたんだ」

ひゃあー!と恵真は仰け反って驚く。

「そうなんだ!うちの社の?え、だれだれ?私も名前分かる人?」
「たぶん知らないと思う。まだドック整備しかしてないみたいだから」
「そうなのね。でも機会があったら紹介してね」
「うん、分かった。それでね、その彼が言ってたの。伊沢と恵真がつき合ってるって噂になってるよって」

ああ、と恵真は頷いた。

「それね、実はわざとそうしたんだ。伊沢くんに協力してもらって」

ん?どういうこと?と、今度はこずえが首をひねる。

「CAさんに人気のあるキャプテンと私が誤解されてるっぽくてね。妙な噂になってキャプテンにご迷惑になったらいけないから、伊沢くんとつき合ってることにしたの」
「へえー、そういうことか。じゃあ実際にデートとかは?」
「してないしてない!それに直接そのキャプテンに、私達つき合ってますって話せて、事態は落ち着いたの」

なるほどね、とこずえは腕を組む。

「ちょっとその話は、伊沢サイドからも聞いてみようっと」
「え、どうして?」
「ん?まあね。伊沢は本当に恵真と恋人のフリをしただけで満足なのかって」
「それは、もっと噂をしっかり流した方がいいってこと?」
「うわー、なんでそうなるかな。相変わらずだね、恵真って。こりゃ、伊沢の愚痴も聞いてやらなきゃね」

ん?と恵真が首をひねると、ほら!お料理冷めちゃうよ、とこずえがパスタを取り分ける。

美味しい料理を食べながらひたすらこずえと楽しくおしゃべりし、恵真は気分もすっきりと、充実したオフを過ごした。