「瑛。都築製薬の会長から連絡が来た。聖美さんが正式に、お前と結婚を前提におつき合いしたいとのことだ」

数日後、帰宅した父は真剣な表情で瑛に告げた。

瑛はしばらく視線を落として考える。

「どうする?断ってもいいぞ。まだ一度しかお会いしてないしな。もう少し考えさせてくれって話しても…」

いや、と瑛は父の言葉を遮る。

「俺も異存はない」
「え?それじゃあ、お前、彼女と…」
「ああ。結婚を前提におつき合いする」

きっぱりと言い切る瑛に、父は何も返す言葉がなかった。