食後、瑛は早々に自室に引き揚げ、朱里はソファで優の相手をしながら雅とお茶を飲んでいた。

「ねえ、朱里ちゃん。瑛、何かおかしくない?突然あんなこと言うなんて」
「…そうですね、私も驚きました。でも瑛はきっと今まで色々な事を考えていたんだと思います」
「そうだけど。どうして今それを決めたのかしら。朱里ちゃん、最近あの子と何か話した?」
「いいえ、まったく。こうやって顔を合わせても、瑛は私に話しかけてこなくて」

そう言うと、雅はうーん…と腕を組む。

「何かあったのかしらねえ。無理してないといいんだけど」
「そうですよね」

するとダイニングテーブルにいた瑛の父が話に加わる。

「ひとまず先方には、一度会うだけ会ってみたいという感じで話しておくよ。あくまで見合いとか、結婚には直結しないと念を押しておく」
「そうね。それがいいと思うわ、お父様」
「ああ。これからも瑛の様子は気にかけておこう。朱里ちゃんも、もし何か気づいた事があったら教えてもらえるかい?」

朱里は真剣な表情で頷く。

「分かりました。私も気にかけておきます」
「ありがとう。助かるよ」

そして2週間後、瑛はお相手の令嬢をこの屋敷に招くことになった。