「朱里、本当にいいのか?仕事のこと」

食事のあと、朱里に肩を貸して部屋まで来た瑛が、隣に座って話し出す。

「うん。長島さんからメールもらって、あの子達のこと思い出したら、なんだか腑に落ちたの。私がやりたいのはこれだって。東条さんも素敵な活動をされてると思う。でも私は、マネージャーではなく、架け橋としての仕事をやりたいの。東条さんには、今度お会いした時にきちんと話すね」

そっか、と小さく瑛が呟く。

「朱里。俺さ、ずっと朱里を遠ざけようとしてたんだ。これからは桐生の家から離れた方がいい。朱里にはもっと穏やかな生活を送って欲しいって。でも一緒に仕事をしていくうちに、そんなこと言ってられなくなった。だって朱里はめちゃくちゃ頼りがいがあって、頼もしくて男前で、かっこよくて、仕事が出来る男って感じで」

おい、と朱里は瑛の胸をぺしっと手の甲で叩く。

「ははは!とにかく、俺には朱里が必要なんだ。だから今日の話は本当に嬉しかった。ありがとうな、朱里」
「ふふ、こちらこそ。これからもよろしくね!」
「ああ」

二人は笑顔で微笑み合う。
朱里は心がすっきりと晴れ渡ったように感じた。