真っ暗な部屋にミクの姿はなく、リビングの椅子が乱雑に置かれ、キッチンは料理の途中の様子を物語っていた。

元彼がミクを攫ったとピンときた。

いや、合意の元かもしれない。

でも、ミクは俺の妻だ。

絶対に渡さない。

省吾はすぐに元彼、海城真人について調べた。

海城ホテルチェーンの御曹司、二十六?

冗談じゃない、あんな若造にミクを取られてたまるか。

省吾はすぐに海城真人のマンションへ向かった。

その頃、ミクは悩んでいた。

真人に無理矢理連れてこられたけど、閉じ込められてるわけじゃない。

省吾の元に戻ることも可能だ。
それなのに、私はどうしてここにいるの?

省吾さんに迎えにきてくれるのを待ってるの?

もし、このまま戻って、なんで戻ってきたのかなんて思われたらどうしよう。

省吾さんの気持ちがわからない。

私はどうなの?

このままでいいの?

真人のプロポーズ受けるの?

省吾さんと会えなくてもいいの?

省吾さんの反応が怖くて、動けない。