契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない

慌てて、会社を飛び出してきたミクは、自分がこんな気持ちになるなど、想像もしていなかった。

省吾は契約結婚の相手。

好きになってはいけない人。

そう思っていたのに、この心臓の鼓動はなに?

びっくりしただけじゃない、胸の辺りがチクチク痛む。

知りたくなかった、見たくなかった。

省吾さんと彼女の抱擁なんて……

でも、私は単なる契約の相手、それなのに、キスされて、抱きしめられて、

優しくされて、ドンドン省吾さんに惹かれていってしまう。

ダメって言ってるのに、私の胸はドキドキ言ってる。

どうすればいいの?

この気持ちは嫉妬?

私は嫉妬なんて出来ない立場なのに……

その頃、社長室を後にした由美子は机の上の封筒が目に止まった。

確か、私が来た時はなかったはず……

と言うことは誰かがおいていったんだ。

封筒の中にメモが入っていた。

『省吾さんへ 
  今朝、リビングのテーブルの上に忘れていました。ミク』

契約結婚の相手が来たんだ。