契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない

「だって、彼女はあなたのお金目当てよ、貧乏なアパート生活から抜け出して、豪華なマンション生活が出来るなら、それは誰だって契約するでしょ」

「それでも構わない、ミクを放っておけない」

「そう、わかったわ」

取引先の娘、財前由美子はずっと省吾が好きだった。

留学を終えて、日本に戻ったら、省吾と結婚すると勝手に決めていた。

いつも恋人に振られる省吾が、まさか結婚してたなんて考えられなかった。

でも契約結婚と聞いて、ホッとしたのも束の間、省吾はミクに対して本気だったのだ。

信じられなかった。

なんの取り柄もないおばさんがどうして省吾の隣にいるの。

由美子は二十六歳、大学院卒業して留学を経て、弁護士事務所で働いている。

省吾と結婚して、会社を大きくする様に父親から言われて育った。

四歳年上の省吾は、憧れの的だった。

やきもちを妬かせたくて、いつも由美子の隣には恋人がいた。

それほどの美貌を兼ね備えている才女だ。

由美子は絶対に省吾を奪ってみせると思っていた。