契約結婚のはずが、御曹司は一途な愛を抑えきれない

朝、省吾が仕事に出かけたあと、リビングのテーブルに書類が置いてあることに気づいた。

あれ、これって、大切な書類だよね。

ミクは急いで省吾のスマホに連絡を入れた。

しかし、省吾のスマホは寝室に忘れられており、ミクはスマホと書類を会社に届けることにした。

タクシーで会社に到着すると、ミクは裏からエレベーターで社長室に向かった。

なるべく、他の社員に会いたくなかったのだ。

その選択肢が、ミクにショックを与えることになった。

社長室のドアが少し開いていた。

秘書室には誰もいなかった。

少し開いているドアの隙間から見えたのは、省吾と恋人の抱擁だった。

ミクは書類が入った封筒を机の上に置いて、急いでその場を離れた。

省吾は抱きつかれたことに、怒りを露わにしていた。

「やめてくれ、その気はないって言ったはずだ」

「契約結婚なんでしょ、それなら、問題ないじゃない」

「俺はミクを愛してる、単なる契約の関係じゃない」