「何言ってるのよ、辰巳グループ御曹司にプロポーズされて、ミクは贅沢だよ」

「愛されていなくて、他に恋人がいて、幸せって言える？」

「働かないで、親に経済的援助してくれて、自由を認めてくれて、それも幸せの一つの形だと思う」

「それはそうだけど……」

「それに、どんな理由があっても、身体の関係を求めてくるって、ミクに愛情があると思うけど、嫌な相手なら、そんな気持ちにもならないでしょ」

「うん」

その時、ミクのスマホが鳴り、画面は省吾の名前だった。

「省吾さん」

「ミク、今どこ？」

「友達のうちです、今晩ご主人が出張で留守なので、泊まらせてもらおうかと」

「そうか、いや、帰ったらミクの姿が見えないから心配しちゃったよ」

「ごめんなさい」

「大丈夫、自由にしていいと言ったのは俺だよな」

「明日、俺休み取れたからそっちに迎えに行くよ、何時頃そっちを出る予定？」

「明日、朝こっちを出ます」

「出る時LINE入れて」

スマホを切った。