「遠いんだよ、俺の席」


二人はしれっとしてるけど、私は気まずい。朝からあんまり話していないし、何より……アリスって子とどんな関係なのか。それを理央から説明されるのが怖い。

もしかして元カノ?
そして、もしかして元サヤ?

そんな悪い考えがグルグル。グルグル。

だけど私の冷や汗に気づいた琴音ちゃんが、じっとりした雰囲気ごと、私の背中をバシンと叩く。


「ほーら南月。行ってきな」

「え、え?」

「アリスに負けんなって言ってんの。それとも――

理央くんを諦めるの?」

「っ!」


理央を諦める――?


「そ、それだけは、嫌……!」

「ん。じゃあ、いってきな」


ニコリと笑った真琴ちゃんは、私の背中を強く押してくれた。すると自然に足が前に出て、理央に近づく事が出来る。