「さっきから何をブツブツ言ってるの?」

「……なんでもないよ。それより、晩ごはんの買い物いく?」

「うん!」


南月は、突然「カレーを作りたい」と言い出した。泊めてもらう代わりに……ということらしい。

そういう律儀なところも、南月の良さだなぁなんて思いながら、私服に着替えた俺たちは家を出た。


「理央、鍵しめた?」

「大丈夫だよ」

「よし!」


スーパーに行くまで、なんてことない会話をする。だけど……こういう何気ない会話から、未来の俺たちを思ってしまうのは……俺の気が、はやすぎるのかな。

「いってきます」とか「いってらっしゃい」とか。そんな会話をできるくらいな仲になりたいって、俺は思ってるんだけど。肝心の南月にその思いを告げる日は、いつになるんだろう。

まあ、焦ってはないけど。

だって――


「ねぇ、理央」

「ん?」

「手……繋ご?」

「ぐっ……」


恥ずかし気に、少しモジモジしながら。こういう事を、南月は言っちゃうんだから。