*アリス* 「う、ひっく……っ」 夕日が落ち、夜になった。 この時間、マンションの近くで泣くのは、二回目だ。 一回目。 その時は、確か―― 「俺と、付き合ってくれませんか?」 そう。そんなバカな事を言った人が、一人だけいた。 今まで理央しか見えてなかった私の視界に、その人が突如として現れた。 「ねぇ、聞こえてる?俺と付き合ってくれませんか?」 そして、今も―― 「……なんで、いるの」