ここで諦めたくない。

私だって、理央を思う気持ちは一緒だから。


「じゃあ、今――ここでキスしてみて」

「南月……?」

「理央が本当に止まらないかどうか、証明してみてほしいの」

「っ!」


私、思ったの。

理央は私の事を「好き」って言ってくれた。すごく、嬉しかった。


だけど――


優しい理央の事だから、私を傷つけないために「優しいウソ」をついてるんじゃないかなって。

そんな事を、思っちゃった。


だから、ここで証明してほしい。


理央の本音が、どこにあるのか。

私に教えて。


「でも、南月……」

「お願い、理央。キスして」

「っ、分かった」


頑なに譲らない私に、ついに理央が折れた。


まるで「自信ないなぁ」と言わんばかりの、理央には珍しい気弱な顔。


まつ毛を揺らしながら瞼を下げたけど、覚悟を決めたらしい。


切れ長の瞳を、逸らすことなく私に向けた。


すると、そこには――


「南月、目を閉じて。

どうなっても、しらないからね」


初めて見る、男の顔をした理央がいた。