「こっのみちゃん!泣かないで?」
「っ……、っ…、うぅ…」
おどけて笑わせてくれるつもりだったんだろうけれど、すぐに彼は笑顔をやめた。
「やっば……、怒りで笑えもしねえわ…、」
ふーーー、と。
次に聞こえたのは、自分自身を落ち着けるかのような深呼吸。
「俺のヴィーナス泣かせたの……だれ?」
信じられないほど低い声だった。
それが本当に結多くんのものだとは思えず、ビクッと一瞬だけ無意識にも肩が飛び跳ねるくらいの。
控えめに言って、誰かの命が無くなってしまいそうな。
「このみちゃん、俺は君のためなら何だってするよ」
「ゆ、ゆいたくんっ」
「うん結多くん。八つ裂き?こっぱみじん?選び放題なんだわこれ。……だれ?そんなに泣かせたやつ」
ケーキ、バリカン。
きっと彼の言うとおり、本当に何だってしてくれてしまうんだろう。
でも違うの結多くん。
ちょっとだけ、ちがう。



