「わぁ、すごい」

私たちは今、リニューアルオープンしたって噂の遊園地に来た

「心乃美、俺のそばを絶対離れるなよ」

「分かってるわよ。そんなこと」


あなたから離れようとしたら絶対追いかけてくるのわかってるからさ

「お兄ちゃん、私ね?最初はジェットコースターがいいな」

私がこれをしたいと言えばそれに従うお兄ちゃん

だからそれなりに困らないけれど


夜になったら豹変するからいい加減にして欲しい

「分かった。チケット買ってくる」

兄はそれだけ言うとチケット売り場に行った

私は遊園地に備え付けられてるベンチに座り兄を待つ


「おまたせ」

兄の手にチケット二人分

「おかえり!並ぼっか」


私ははぐれないように兄の手を握る


兄も握り返してくれた


順番が回ってきたから椅子に座ると、安全バーが下がる


恐怖より楽しみが勝ってるから大丈夫なんだけど

兄は実は絶叫マシーンが大の苦手


いつも私のことを好き放題してる罰だと思い、そのまま放って置くことにした


次第に動き出したジェットコースター


そろそろカタカタカタカタとリズム良く音が聞こえてくるはずだ

兄はいつもそれで首を横に振ったり


叫び出すかの2択だ


ほら、そろそろ兄が叫び出す頃だろう


『ぎゃあああああああああ』


ほ、ら、ね


兄は叫び出したでしょ?