「痛ッ!」

レジーナの薬指から赤い血が流れていく。それをヴァニタスは舌で舐めていった。ピリッと痛みが指先に走るものの、どこか心地よく感じてしまう。レジーナの口から吐息が漏れ、ヴァニタスは何度もレジーナの薬指にキスを落とした。

「本物はまた後日渡す。それまではこれで我慢してくれ」

ヴァニタスはそう言い、レジーナの左手を解放した。その薬指にはヴァニタスによってつけられた噛み跡がしっかり残り、指輪のようになっている。

「わ、私まだヴァニタスのお嫁さんになるなんて一言も言ってないけど?」

レジーナは、胸の高鳴りに気付かないフリをしてそう言う。ヴァニタスは不敵な笑みを浮かべ、レジーナに言葉を返す。

「残念ながら吸血鬼は一途なんでね。一度花嫁と決めたら絶対に離さないんだ。だからレジーナが諦めて俺のものになってくれ」

一体これからどのような生活が待っているのだろうか。レジーナは胸を高鳴らせながら、ヴァニタスの首に自身の腕を回した。