ヴァンパイアの花嫁

「怖かった……!助けてくれてありがとうございます……!」

レジーナは男の子に抱き付く。男の子は嫌な顔一つせず、レジーナが落ち着くまで頭を撫でてくれた。

数分間泣いた後、レジーナは赤く目を腫らしたまま自己紹介をする。

「私、レジーナ・ヨークと言います。えっと……」

「ヴァニタス。ヴァニタス・ユナだ」

男の子ーーーヴァニタスはニコリと笑いかける。レジーナは胸がギュッと締め付けられる感覚を覚えた。

その日から、レジーナはこっそり城下町に足を運ぶたびにヴァニタスを探し、ヴァニタスとジュースやパンを買って食べたり、広場のベンチに座って話をしたり、一緒に過ごすことが増えた。

「ヴァニタス、今日はどんなお話を聞かせてくれるの?」

「そうだな。月に住んでいるお姫様のお話はどうだ?」

ヴァニタスはレジーナの知らない異国の話をたくさん知っている。その話を聞くのがレジーナの楽しみの一つだ。しかし、彼女は気になっていることがある。