外側から強く締めつけられているようで、ノイズ混じりの不鮮明な映像がなだれ込んでくる。
激しい頭痛に耐えかねて、頭を抱えたままその場に蹲った。
「おい、大丈夫か！」
慌てたように屈んだ向坂くんがわたしの肩に触れる。
答える余裕もなくて、ぎゅう、とその手を握り締めた。
だんだんと頭の中の黒い靄が晴れていく。
断片的だった夢の記憶が繋がって、抜け落ちていたフィルムが浮かび上がってきた。
「思い、出した……」
────“前回”のこと。
理人に殺されるループのことも、記憶のことも、腕時計のことも。
向坂くんの存在や彼への想いもぜんぶ。
「え」
「思い出したよ、向坂くん……！」
せり上がる感情を何とか抑え込み、泣きそうな顔で見つめる。
そっと立ち上がると、彼もそうした。
「思い出したって、どこからどこまで？」
「覚えてるのは“前回”のこと。時間が巻き戻って、向坂くんに会いにいって」
けれど、ちょうど今日の逆で、彼はわたしを覚えていなくて、さっき向坂くんがしてくれたみたいに色々と説明した。
理人に殺されるまでの3日間を繰り返していることやどうやって殺されたのか。
撲殺、絞殺、事故死……そのとき彼に話した内容は覚えているけれど、殺されたときの実際の記憶は思い出せなかった。
そして“前回”のわたしは、心中に巻き込まれるような形で殺されたのだ。
うつむきながら口を開く。
「向坂くん、ごめんね」
「何が？」
「わたしが何かしちゃったんじゃないの……？」
あのときの急激な態度変化は、わたしのせいだと思っていた。
だけど、今回の彼はその記憶を有しながらも、拒絶するような冷たさを見せない。
「……ちげぇよ。この際だから言うけど、あのとき下に三澄がいたんだ」
「え、理人が!?」
「ああ。で、あいつの殺しの動機があれだろ？ だから、おまえを俺に近づけねぇようにしようと……」
そうだったんだ。
ということは、突き放したのは────。
(わたしを守ろうとして……？)
