狂愛メランコリー


 はっとした。
 このループは、わたしが理人に殺されたことで始まった。

 “もう一度やり直したい”という願いをきっかけに、それを叶える形で。

 けれど、理人が死んだということは、そのループの体系が崩壊してしまったことを意味する。

 もう────“次”はないんだ。

「う、あぁ……っ!」

 わたしは(むせ)び泣いた。
 深い悲しみと罪悪感と絶望の渦に飲み込まれていく。

 最後の最後まで、ひたむきにわたしを想ってくれた理人。

 これまでの日々と、繰り返す3日間の中で、わたしは彼に何かを返せただろうか。

『わたしがずっと、理人のそばにいる』

『……ありがとう』

 ────ごめんね、理人。

 わたしは一番近くにいても何にも気づかずに、自分の殻に閉じこもってばかりいた。

 ひとりぼっちが怖くて、必死でしがみついて、それなのに最後には自分本位な理由で突き放して。

 甘えきっていた。溺れきっていた。
 そのせいで、深く傷つけた。

 それでも、理人は────。

「……っ」

 わたしは向坂くんの腕の中で、ただひたすらに泣きじゃくった。

 悔やんで、謝って、後悔して、燃え尽きた心が空っぽになっても、涙はとめどなくあふれてきた。

 向坂くんは何も言わず、わたしが泣き止むまで黙って背中に手を添えてくれていた。



     ◇



 アラームが鳴り響く。
 画面をタップして停止すると、ロック画面を見た。

 5月7日。午前7時。
 あの日から1週間が経った。

 理人が屋上から飛び降りて亡くなったことで、わたしは悪夢のようなループを抜け出すことができた。

 理人の自殺は誰にとっても衝撃的なもので、お通夜や葬儀が終わったいまでも、涙を流す人は絶えない。

 クラスメートにしても、彼を想っていた女の子たちにしても、わたしにしても。
 ふとした瞬間に思い出しては泣いてしまいそうになる。

 いまだって、そのうち理人から“おはよう”ってメッセージが届きそうで。