俺、嫌いなんですよ。女の出す、媚びたような猫撫で声とか、キンキン耳にうるさい黄色い声とか、セックス中の気色の悪い喘ぎ声とか。虫唾が走ります。ぶっ殺したくなります。まあ、実際にぶっ殺したんですけど。えっと、確か、いち、にー、さん、しー……、あー、まだ少ない時は数えてたんですけど、途中で面倒になって数えるのやめたんでした。でも両手以上の人数は確実ですね。たくさん殺してきました。時間をもらえれば、殺した人数調べて言いますけど。いらないですか? 人数はあまり重要ではないということですか? そうですか。でも、面倒に思わず覚えておけば良かったです。あなたに自慢できるチャンスだったのに。やらかしてしまいました。びっくりしてますね。引いてますね。怒ってますね。そんなに驚くようなことですか? そんなに引くようなことですか? そんなに怒るようなことですか? 俺は、死ね、と思ったから殺しただけです。だって、死ね、って言っても誰も死んではくれないでしょう? 言葉だけで死んでくれるなら、いちいち手なんか出しませんよ。ね、そうでしょう? 死んでほしいから、殺したんです。それだけです。俺、何か間違ってますか。え? 間違いだらけ? いやいや、俺にとっては大正解ですよ。殺したら、問答無用で静かになりますから。猫撫で声出したら殴って、黄色い声出したら殴って、喘ぎ声出したら殴って、その代わりに呻き声を上げさせてきました。そっちの声の方がまだいいですね。手を止めることでまた不快な声を上げられたら困るので、顔面や喉を殴ったり絞めたりするのを徹底していたんです。俺にとってあの声は不愉快なので、脅威なので。で、まあ、気づいたら息止まってましたね。やっと解放された、って感じです。心がすっきりしました。そうそう、知ってましたか? 心臓止まって喋らなくなった女は意外と綺麗なんですよ。涎垂らしていても、血塗れでも、眼球が零れ落ちそうになっていても。どんなに醜くても綺麗なんです。全く動かないので、物音一つ立てません。呼吸音すらもしません。まるで、精巧に作られた芸術品です。元々顔面が壊れたブスであっても、体型がバグったデブやガリガリであっても、芸術品だと思えばそれなりに価値がつきそうじゃないですか? つきませんかね? つかないって? ああ、どうやらあなたとは価値観が違うみたいですね。残念です。この魅力が分からないなんて。あ、分かりたくなんかない、ですか。なるほど、俺は狂ってて、自分は正常だって思いたいんですね。とっても気持ちが悪いです。あなたはとても気持ちが悪いです。俺に言われたくないと思ってるんでしょうけど、俺からしたら気持ち悪い人なので、気持ち悪い人です。あなたは気持ち悪い人です。気持ち悪いですね、そのドン引きしたような顔。汚いものでも見るような顔。気持ち悪いですね。自分はおかしくないと思っている顔。此奴は狂っていると思っている顔。気持ち悪いですね。とっても。気持ち悪い気持ち悪い気持ち悪い。ああ、いけない、悪い癖が出てしまいました。話を戻しますね。芸術品と化した女の死に顔を見ていたら興奮してきてしまって、勃起したんです、俺。それはもうガチガチに、痛いくらいに。我慢なんてできるわけないですよね。死んだ女は喘がないので、俺の嫌いな嬌声を聞くことなくセックスができたのは最高でした。めちゃくちゃ興奮しました。いつもより精液の量も多くなっていたように思います。もちろん中出しです。どうせ死んでるんで、妊娠もクソもないでしょう。たっぷり出してあげました。膣内の滑りがほとんどなかったのはアレでしたけど、それはローションで補えばどうにかなりますよね。あ、当時のことを思い出したら勃ってきてしまいました。屍姦は凄く善いってことですね。俺の股間は正直者です。抜いてきちゃダメですか? ふざけるな、ですか。ふざけてないんですけどダメなんですね。じゃあ頑張って我慢しますね。殺した女とセックスした後は、まあ記念に? 犯したその死体の写真を撮りました。俺の大事なコレクションです。あ、写真の枚数を数えれば、必然的に殺した人数が分かりますね。俺から没収したスマホの中身はもう確認済みですか? パスワード教えましたし、あとは写真フォルダを開けばいくつもの絶景が見られますよ。撮った写真は一枚も消去してないので。あなたにとってはとても都合のいい、ちょうどいい証拠品ですね。え、狂ってる、ですか? あなたは証拠とか大好きですよね? 証拠探しのプロじゃないですか。俺のコレクションは立派な証拠ですよ。証拠品をしっかり残してあげてる俺の調査って結構楽じゃないですか? それにしても、死体に俺の精液とか残ってるだろうに、意外と捕まらないものですね。こっちもそれなりに逃亡してたからですかね。きもくてうるさい女を殺して、その家に入り浸ってたから、というのもあるのかもしれません。死体は、セックスした後に、運びやすいように解体して、部分ごとに川に捨てて流してました。まずは四肢を欠損させて、ああ、その時、だるま女みたいになったのを見たら、また股間が反応したので、もう一回、大きくなったブツを突っ込んで気持ちよくなりました。それから、首を切断して、胴体を、真ん中を軸に縦と横に切って、四等分しました。溢れた内臓は全部まとめて中身の見えないゴミ袋に詰めて、浮き上がってこないよう大きめの石をいくつも入れてから、同じように川に捨てました。切った手足は関節ごとにまた切って、継ぎ接ぎ人形みたいにしました。なかなか体力消耗しましたよ。お陰で次の日は筋肉痛です。死んだ人間ってクソほど重たいですね。それがデブの時は本当に大変でした。デブの写真もあるので、ぜひ見てみてください。もちろん他の女も。死に顔、最高に興奮しますよ。キーキーうるさい耳障りな声を出す女を、俺がこの手で消してるんだって思ったら、凄くゾクゾクするし、生を実感しますね。達成感もあります。死人に口なしです。何をしても無口なので、文句一つ言わないので、ずっと気分が良かったです。その時ばかりは心が安定してました。冷たくなっていく様も癖になるくらい良くて、ますます死体が好きになりました。えーと、大体こういった流れで、俺は不快な女を殺し続けました。殺して犯して切断して捨ててきました。全員です。画像に載ってる女は全員、殺して犯して切断して捨てました。もう流されちゃってると思うんで、死体は見つからないと思います。今思うと、解体した死体は捨てずに、宅配すればよかったですね。女の家族や恋人に。そうすれば身体は残りますよね。火葬もできます。骨壷だって入手できます。ああ、本当に、そうすればよかった。失敗です。やってしまいました。後から名案を思いつくことってありますよね。今、それが起きました。俺の身に、それが起きました。うーん……、あ、そうだ、いいこと思いつきました。代わりに写真を送りましょうか。俺が撮った貴重な写真を、女の親族に。死に目に会えなかったんだから、俺が写真で会わせてあげます。良い方法だと思いませんか? 全員裸ですけど。殺してから脱がしたんですよ。中には糞尿垂らしてる女もいて、とっても汚くて、とっても臭かったです。でもそれ以上に、時間が経ってからの死臭のほうがきつかったです。鼻がもげるかと思いました。服は早めに処分したんですけど、さっき述べたように死体は解体してから捨てていたので、死体と付き合う時間の方が長かったですね。臭いはきつかったんですけど、死体と遊べたのは純粋に楽しかったです。俺みたいな人のことを、世間一般では、異常性癖を持った狂人、だとか、ただのサイコパス、だとかいうんですかね? あるいはネクロフィリアだとか。でも、ネクロフィリアは否定しません。実際、死体に興奮してしまうので。そのまま屍姦したので。あなたには分からないでしょうね。その目を見れば明らかです。俺のことを軽蔑してますよね。自分は正常であることを確信しているから、あなたが異常だと思っている俺のことを理解できない。俺にとってはあなたの方が異常ですけどね。自分のことを正常な人間だと信じて、自分は人間として正しいと思い込んでいる異常者です。きっとずっと、あなたと俺は分かり合えないでしょうね。ああ、そろそろ口が疲れてきました。少し休憩していいですか? 用を足しに行きたいです。その後に、また何か聞きたいことがあったら教えてください。今更嘘なんか吐きませんし、逃げも隠れもしませんから。全部白状します。あなたが知りたいこと全部。あ、そうそう、気づいたことがあります。あなたに関してです。ここまで俺の話を聞いてくれた時点で、あなたも十分こちら側の人間だと思います。俺と同種ですね。お互いに理解はできないと思いますが、あなたもあなたで狂ってますよ。



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