「どんな洋服を想像してる?」
「着物とか、そうでなくてもきっちりしたワンピースとか」
「そんなガチガチの格好をしなくても平気だ。俺だってスーツじゃない」
聖がクスクス笑う。
彼も薄手のジャケットこそ着ているが、インナーはラフなTシャツだしチノパンだ。これで聖だけかっちりとした格好だったら不安になったが、ふたりでカジュアルなら怖いものはない。
しかし聖ときたら、そんなスタイルだろうが雑誌から抜け出てきたように見えるから不思議である。単なる白いTシャツにハーフパンツでも様になるのではないか。
いや、それどころかパジャマでも、普通の人がスーツを着てビシッと決めようが敵わないかもしれない。いっそステテコでも穿かせてしまおうか。
「……ずるいな」
無意識に心の声が漏れたのを聖がすかさず拾う。
「なにがずるいって?」
「カッコよくてずるいなって」
「誰が? 俺?」
聖は聞き返した後に、運転しながら自分を指差して続ける。



