敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


制服を返しに行った料理教室で嫌な思いをしたため、無意識に綺麗なものを見て心を浄化させたかったのかもしれない。おかげで気持ちがゆっくり回復していく。


「綺麗だなぁ……」


頬杖をついて眺めていたら、ふと背後に人の気配がした。それと同時に――。


「すごい景色だな」


声を掛けられた。


「ひゃっ」


いきなりだったため変な声が出る。


「ひゃってなんだよ」


聖は不満そうに眉をひそめて七緒を見下ろした。


「驚かせないでください」
「店に入ったときに名前を呼んだのに、気づかなかったのは七緒のほうだ」
「そうだったんですか?」