「順調です」
まるで見せつけるようにお腹をさすり、にっこりと微笑む。聖母のように見えないのは、七緒が嫌悪感を抱いているせいだろう。
「そう、よかった」
でもお腹の子どもに罪はない。母親に関係なく、元気に生まれてくる権利があるのだから。
「あ、そうだ、七緒さんにも来てもらおうかな」
「おい、恵麻、よせ」
バッグをゴソゴソと漁る恵麻を唯斗が引き止める。「いいじゃないべつに」「なんでだよ」という押し問答の末、恵麻が圧勝。彼女は白い封筒を七緒に差し出した。
「……これは?」
「唯斗さんと私の婚約披露パーティーを開催することになって。正式な婚約はまだ先なんですけど。パーティーっていっても、友達中心のものだからあまり気負うようなものじゃないんです。だから七緒さんもぜひ」
まさかそのパーティーの招待状だと言うのか。



