最初のうちは自分に憧れを抱いてくれているのだと微笑ましく誇らしい気持ちでいたが、次第にそれが重くなっていく。
なんでもかんでも同じでまるでコピーロボット。ちょっとした気味悪さを感じはじめた頃、唯斗が彼女を妊娠させたことが判明した。
恵麻は、七緒の持っているものすべてと同じものが欲しかったのだろう。
今日着ているワンピースも、七緒がよく行くセレクトショップに置いているブランドだ。ヘアスタイルも、七緒が教えてあげた編み込みのアレンジが施されている。
そんな彼女を唯斗はどう感じているのだろう。聞くタイミングを逃したまま別れたため、未だに謎だ。
「七緒さん、お元気そうでなによりです」
どの口が言っているのかとお腹の奥のほうで言葉が蠢く。
でも今ここで彼女に悪態をついても事態は変わらない。唯斗が恵麻を選んだ事実は覆りようもないのだから。
「おかげさまで。恵麻ちゃん、体調はどう?」
週数がどれくらいかわからないが、まだお腹はぺったんこだ。



