無事に薬を受け取って帰宅した七緒は、自室にいる孝枝に声を掛けた。帰りにお気に入りの和菓子屋で買った桜餅を器に盛り、濃いお茶を淹れる。
「七緒、おかえり。病院まで行ってもらって悪かったね」
七緒が家を出たときにパジャマ姿だった孝枝は着替えも済ませ、朝見たときよりもシャキッとした様子だ。
「ううん、大丈夫。これ、薬ね。体調はどう?」
薬の入った袋をダイニングテーブルについた孝枝の前に置く。
「ありがとう。おかげさまでもう平気よ。あら、おいしそうな桜餅じゃないの」
「寄り道して買ってきたの。おばあちゃんも食べるでしょう?」
「もちろんいただくわ」
淹れたてのお茶と桜餅を並べ、揃って「いただきます」と手を合わせて頬張る。
「んー、やっぱりここの和菓子はおいしいね、おばあちゃん」
「桜餅は道明寺粉で作られたものが一番よね」



