言われてみればそうかもしれない。食材の命を最大限生かしておいしい料理にしようと努力し、食べる人の体に良い料理を提供したいという強い信念はいつも抱えてきた。
「聖さんって、なんだか不思議な人ですね」
「それは褒められた?」
カーナビの指示に従ってハンドルを左に切りながら聖が微笑む。
「たぶん?」
先ほどの聖を真似て答えたら、彼は肩を揺らして笑った。
「今日はおじい様おひとりでしたけど、ご両親はどうされているんですか?」
「俺が小さいときに母親が家を出て両親は離婚。それからは父親と祖父と三人の男所帯だったけど、その父も三年前に亡くなった」
「それじゃ、うちと似たような感じですね」
「七緒もおばあ様とふたり?」
はい、と頷く。揃って祖父母とふたり家族だ。



