妊娠が判明するくらいだから、七緒と付き合ってすぐに体の関係になったのだろう。七緒とはキスまでだったのに、その子とは最後まで進んでいたなんて笑い話にもならない。
それもこれも七緒に女性としての魅力がないせいだ。ほかの女性で性的な欲望を満たすのだから。
「七緒に魅力がない? だとしたらその男の目は節穴だ。七緒は十分魅力的だと思う」
「な、なんですか、唐突に」
いきなり好意的な発言をされ、どう返したらいいのかわからず目を白黒させる。
「思ったことを正直に言ったまで。まぁおっちょこちょいだし、ちょっとお節介なところはあるけどね。そこは愛嬌。自分を卑下する必要はない。自信を持て」
おっちょこちょいは認めるが……。
「お節介はひどいです」
褒められた照れくささをクレームで隠す。
彼は深い意味で言ったのではないと思うが、恋と仕事をいっぺんに失って自信を喪失していたため、聖の言葉に元気づけられたのはたしか。



