前回の放送では地上波でもお馴染みのお笑い芸人がサプライズで助手に入り、コメント欄が大いに賑わったそうだ。

聖もそのときの番組は観たが、芸人の男が七緒に近づいたり話しかけたりするだけでイラつき、結局最後まで視聴できなかった。演出だと頭ではわかっていても、そう簡単に割りきれない。


「七緒」


もう一度名前を呼んで唇を重ねた瞬間、ようやく彼女の瞼がピクリと動く。片方ずつゆっくり目を開き、間近にいる聖に気づいて微笑んだ。

焦点が合わず、まだ寝ぼけてとろんとした目が妙に色っぽい。


「おはよう」
「……おはよう、ございます」


声がかすれているのも昨夜の濃密な時間のせいか。啼かせすぎた自覚があるため、申し訳ない気持ちにもなる。


「起きなくても平気か? 今日は収録があるんだろう?」