「ドッキリ大成功だな」
「ドッキリ?」


目を瞬かせて見つめ返した。


「普通に渡したらつまらないかと思って。さっきのはオモチャ同然の指輪」
「……オモチャ?」
「そう」


ニッと口角を上げ、満面の笑みだ。
七緒をびっくりさせようと、婚約指輪を海に落としたと見せかけたらしい。とんでもないドッキリだ。


「もうっ、驚かさないでください」


思わず聖の胸をトンと軽く叩いた。


「許せ。絶対に忘れられないプロポーズにしたかったんだ」
「インパクトが大きすぎます」


とはいえ聖の場合は初めからそうだった。出会って数分で恋人のふりをさせられるなんて、めったにない経験だろう。

突飛な発想は彼ならでは。これが聖のスタンダードだ。