敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


翌々日、七緒は聖のお弁当を持参して病院にやって来た。
聖は江梨子の術後から病院に詰めたまま。おそらく食事は簡単なもので済ませているだろうし、疲れも溜まっているに違いない。

どんなメニューでも喜んで食べる聖だが、中でも抜群に好評だったカリッとジューシーに仕上げたスパイシーチキンとひじきの五目煮に半熟の煮玉子である。さらに、ほうれん草と豚バラの炒め物は疲労回復にもってこいだ。

何度かやり取りしたメッセージによると江梨子の容態は安定しており、予後は順調とのこと。ナースステーションで江梨子の病室を聞き、部屋を訪ねる。

ノックすると、中から思ったより元気な声が返ってきた。


「久世です。失礼します」


ドアを開け、さらに白いカーテンを開ける。江梨子はリクライニングにしたベッドに横たわっていた。
個室のため、ゆったりした部屋は小さな応接セットもある。


「久世さん、いろいろとご迷惑をかけてごめんなさいね」
「お加減はどうですか?」