「加賀谷先生、ちょっとよろしいでしょうか」
手術室から出てきた看護師が聖を呼びに来た。
「ああ、今すぐ行く」
背もたれから体を起こしてそう返し、素早く立ち上がる。
「今夜は病院に泊まることになりそうだ」
「わかってます」
「この埋め合わせは必ずするから」
「大丈夫ですよ。倍返しを期待して待ってます」
わざと明るく返すと、聖はようやく笑みを浮かべた。
「期待にそえるよう努めます」
胸に手をあてて仰々しく答え、聖が手術室に向かって歩きだす。そして、背を向けたまま右手を上げてひらひらと振った。
メニュー
メニュー
この作品の感想を3つまで選択できます。
読み込み中…