それを二回繰り返したかと思えば、今度は心臓マッサージを開始。胸骨の下あたりに置いた手に向かって垂直に体重をかけ、圧迫しては速やかに力を抜く。
人工呼吸と心臓マッサージを繰り返す聖の真剣な表情には、絶対に助けるという気迫が満ちていた。気安く声もかけられないほどの緊迫感が漂う。
「AEDをお持ちしました!」
駆けてきた店員から機材を受け取り、カバーを開ける。電源を入れ、電極パッドを取り出した。
「ここで脱がせるんですか?」
回りには人だかりができ、大勢の目がある。そんな場で洋服を脱がせるなんて、命を救うためとはいえ心配になる。
「安心しろ。脱がせなくても、直接素肌に貼れれば問題ない」
聖の言葉にホッとする。
江梨子のブラウスのボタンをもうひとつ外し、そこからパッドを右胸の上と左胸の下に貼りつけた。聖の言った通り、洋服の乱れはほとんどない。



