敏腕外科医はかりそめ婚約者をこの手で愛し娶る~お前は誰にも渡さない~


「聖さん、もしかして二重人格ですか?」
「七緒も意外と言うね」


クスッと笑った笑顔のやわらかさに不覚にもドキッとする。


「うちの祖母の前にいたときと態度が違うから」
「初対面の人を相手にしたらそうならない?」
「私も初対面です」


その割にはフランクだ。ほんの二時間前に会ったとは思えないくらいに。


「あぁたしかにそうだね」


もう一度クスッと笑い、「ごめんね」と素直に謝って続ける。


「けど、なんだろうな……」


歩きながら七緒を見る目がわずかに細められた。優しい眼差しだ。


「不思議とキミの前だと気が楽」
「……それは褒められたんでしょうか」
「たぶん?」